ゆく年くる年 on the sea
今年もいよいよ暮れてゆく。
陸の上は年末年始の準備に忙しいが、海の上も同様に年越しの準備に余念がない。
船というのは基本的に土日祝日、盆暮れ正月は関係ないので、たとえ正月といえども休めるとは限らないのだが、船内はそれでも年越しを迎えるために居住区の大掃除に、マストやブリッジ内のしめ縄の飾り付けにと、乗員総出で仕事にかかる。
休みなら大したことはないのだが、航海や荷役があるとその合間を縫ってやらなければならないのでなかなか慌ただしい。
大晦日の夜に荷役を終えて出港するときは独特の感慨が押し寄せてくる。
普段なら大小の船で混雑する東京湾周辺の航路もガラガラで、休みの船を羨ましく感じたり、すれ違う船に同情したりする一方、「まあ、俺たちが仕事するぶんみんなが快適に新年を迎えられるならいいかな」と考えたりもする。
冬は電力に燃料にと、石油の消費が増える。そのためにタンカーはどうしても忙しくなる。一般消費者向けの自動車燃料や灯油を運ぶ白油タンカーは特にそうだ。
日々の生活の裏側で、そのようにして夜に日を継ぎ、家族や友人と離れて今この瞬間も海の上で物流を支える船員たちがいることを知ってもらえば幸いである。
もう2018年も残り1時間を切った。2019年は陸上の人々にとっても、海上の人々にとっても幸多からんことを。